Saturday, March 5, 2011

Zadankai (Roundtable Discussion) Between Ray Asaba and Swarthyface, On Swarthyface's Translation of the First Sentence of Ishikawa Jun's "xxxxx"

Sally Suzuki: Well, gentlemen, Mr. Swarthyface seems pretty confident about his rendering of the first sentence of Ishikawa Jun's "xxxxx." Just last night he was boasting to me: "Ne'er was there a sentence so perfectly translated." Here's the sentence in the original:

①  わたしは……ある老女のことから書きはじめるつもりでゐたのだが、いざとなると老女の姿が前面に浮んで来る代りに、わたしはわたしはと、ペンの尖が堰の口ででもあるかのやうにわたしといふ溜り水が際限もなくあふれ出さうな気がするのは一応わたしが自分のことではちきれさうになつてゐるからだと思はれもするけれど、じつは第一行から意志の押しがきかないほどおよそ意志などのない混乱におちいつてゐる証拠かも知れないし、あるひは単に事物を正確にあらはさうとする努力をよくしえないほど懶惰なのだといふことかも知れない。

And his translation:

②  I . . . I had originally intended to write about a certain old woman yet what comes to me now is not her image but only the stagnant waters of this "I . . . I . . ." that are about to spill endlessly forth as if the tip of this pen were a floodgate, and while this is partly because I am so exceedingly full of myself it also attests both to the mindless and impotent confusion into which I have already in this first sentence sunk and to the sheer languor that keeps me from even attempting to describe the world as it is.

We'll start with you, Ray. How do you think he handled this rather prolix sentence?

Ray: 上手いと思うけど、英語のほうが圧倒的に読みやすい。原文のうだうだしていて何が言いたいのかはっ きりしないままだらだら話を続けていく感じが"while this is partly because..."とかやたら論理的になってる感じがするのですね。けどそれは言語の構造上の問題であってどうしようもないかもね。けど"perfect"であるよりももっと崩した感じのほうが面白いかも。

Swarthyface: ま、そうだね。多少論理的過ぎるかも、僕の英訳では。でもどうやって崩せばいいか分かりません。具体的提案があったら教えてね。こういう文体は昭和10年前後に流行っ ていた「饒舌体」というものでね。太宰治、石川淳、宇野浩二などに多用されていて。それにぴったり合うような英語の調子を見つけるのは本当に大変ですよ。

Ray: 日本語は「...な気がするのは...」、「...けれど...」ていう風にだらだらと文章をつなげていくわけだよね。それによって、この一人称で語って る男は始めから自分の言いたいことがわかってはいないというか、あんま文章構成を考えないでしゃべってるという印象を読者に与えると思う。つまり、「~な 気がする」って言うところまで言って、その時点で「あ、その理由は~かな」みたいに思いついて付け加える。更に「そうは言ってみたけどこういう理由もあるかもとか思ってまた付け加える。文章が切れないでつづいていくからわかりにくいんだと思う。でも、それって日常の会話ではけっこう普通に行われてると いうか、皆そんな考えないでしゃべってるってことはよくあるよね。それがこういう思考がだらだらつづいてくような人の場合こういうふうになるってことなのかなと俺は思います(日常会話だったら「もっとわかりやすくしゃべれよ」とか「おまえ何が言いたいのか全然わかんねえよ」と言われるような)。訳では、"while this is partly because," "it attests both to ... and to ..."ていうのをいれるから、話し手は自分が話す文章の全体の構成が最初から見えてるということになってしまって全然違う効果がうまれると思う。

だから、これは思いつきの提案ですが、そういう論理展開を示すことば省いて",which..."とか"or"とかでだらだらつなげていくのが良いかと思われる。

Swarthyface: いいことをいうね。実は最初は「or」にしたんけど、流れ的にちょっと変だなと思って「and」に変えた。でもやはり「or」の方がいいかもね。

ただ、この冒頭が明治初期の噺家的な口調に近い感じだとしても、作品全体が口語体で書かれているとは決して言えないね。ものすごく硬い言い回しもたくさんあるし、変な単語も多くて、物語の構成もしっかりしているし、文法的に漢文に近いところも多いので、作品全体はあくまで書き言葉で書かれているように感じる、パパにはね。だから英訳の方でも、多少フォーマルかつ論理的な英語にしてもいいかなと思つた。

でも仰った通り最初の文章は語り手が行先が分からないままとりあえず喋ってやるっていう投げやりな口調になっているから、少し口語っぽく崩してもいいかもね。やはりこの作品を訳すに当たり作者の明確な意図と語り手のだらだらした態度を区別せねばならぬことを忘れてはならぬ。

Sally Suzuki: I want to thank both of you for participating in this first ever zadankai hosted by Beholdmyswarthyface. I look forward to more discussions in the future.

8 comments:

Ian Hogarth said...

Worst zadankai ever.

マザー said...

自分のことをパパと呼ぶな。

Ray Asaba said...

Sally cut me off. I wanted to have the last word. →
口語/文語の区別と文章の論理性は別な気がする。ここで引用されてる箇所については所謂"インテリ"だから文語使ってるけど、まさに「行先が分からないままとりあえず喋ってやる」(言い得て妙な表現だね)って感じはするよね。一つの文章が始めと終わりでずれてるというか、普通論理的な文章書くときは、それを一貫するように書き直したりする(←ライアンの訳はこれをしているように見えてしまう)んだけど、しゃべってるときはそのまま勢いでしゃべってしまう、そういう意味でのoralityは意識されてると思う。その感じは英語でもだせるんじゃないかなぁ。

けど、この小説全体についてのことは、それこそ読んでみないとわかんないな。今めっちゃ忙しいので、3月20以降でもよかったら、時間あるときに見て感想いうわ。

T. Kasei said...

なるほど、「作者の明確な意図と語り手のだらだらした態度」ね。その指摘を発展させることごできるかどうかはわからないが、以下に私見をば。

ショートセンテンスをはきはきと重ねるにせよ、だらだらと言葉を重ねてシンタックスを敢えて乱すにせよ、言葉のリズムを生む作業の背後には、書き手の明確な文体意識が反映されてるし、読書経験ってのはそこを差し引いては存在しえないというか、読書に耽るときはきっと作者が意図したリズムに自然と頭と身体が調子を合わせているんだろうな、と考えたりもする。

関係ない話だが、自分は「喋りながら考える」人間だから、書き物をしていても気がつけばシンタックスの完成が絶えず遅延されてしまうことがあるし、出発点と着地点が大きくズレてしまうことが多い。ってか今まさにズレた。でもって文筆家の端くれである自身を鑑みても、アカデミックな文章やジャーナリスティックな文章では御法度とされる乱脈性を逆手にとって読者の思考の振れ幅を拡充することができるのが、小説という媒体が持つひとつの面白味である気もするよ。

そしてついでに俺もなにか翻訳してみたくなりました。笑

Anonymous said...

I agree with Ryan - although I like what Ray has to say. Mother

Anonymous said...

Is this the first zadankai you did on your site? I like this new direction it has taken! Luciana

『Behold My Swarthy Face。』 said...

Luciana,

Yes, this is the first! We may need you for the second zadankai!

Anonymous said...

it's a good translation. but you can go more wild with it, re-interpret it and even throw in a few periods for effect here and there