Saturday, May 14, 2016

Study Guide: “About the Priest with the Long Nose” (from Uji shūi monogatari)

Morrison

Study Guide: “About the Priest with the Long Nose” (from Uji shūi monogatari)

Original: “Hana nagaki sō no koto,” story #25 in Uji shūi monogatari (c. early 13th c.)
Translation: "About the Priest with the Long Nose" (25) in TheDemon at Agi Bridge and Other Japanese Tales, by Burton Watson and Haruo Shirane, Columbia University Press. 

Uji shūi monogatari: A collection of tales from the early 13th century. For more, see TraditionalJapanese Literature: An Anthology, Beginnings to 1600, edited by HaruoShirane, 329-331)

Study Questions

1.      Make a list of the similarities with Akutagawa’s short story “The Nose” (Hana, 1916). Include similarities of characters, personalities, plot, setting, style, themes, foci, message, final scene, etc.

2.      How does this original story differ from Akutagawa’s story? What additions or changes did Akutagawa make? Why? Speculate on the reasons behind these changes / additions.

3.      What is the point of this story? Does it contain some sort of moral lesson, as many setsuwa do (and as Akutagawa’s story does)? Or is it purely for entertainment? How is its “point” different from that of Akutagawa’s story?

4.      Compare this story to other famous setsuwa. How is it similar? How is it different? Explain.


Literary Terms

1.      Setsuwa (anecdotal literature): See Shirane 2012, 328-329)


『宇治拾遺物語』(early 13th c.
「鼻長き僧の事」
巻第二、七(二五)

原文

昔池の尾に禅珍内供と云ふ僧住みける。真言などよく習ひて年久しく行ひて貴かりければ世の人々様々の祈りをせさせければ身の徳ゆたかにて堂も僧坊も少しも荒れたる所なし。仏供御灯なども絶えず折節の僧膳寺の講演繁く行はせければ寺中の僧坊に隙なく僧も住み賑ひけり `湯屋には湯沸さぬ日なく沐み喧騒りけり。またその辺には小家ども多く出で来て里も賑ひけり。
さてこの内供は鼻長かりけり。五六寸ばかりなりければ頤より下りてぞ見えける。色は赤紫にて大柑子の膚のやうに粒立ちて脹れたり。痒がる事限りなし。提に湯をかへらかして折敷を鼻さし入ばかり彫り通して火の炎の顔に当らぬやうにしてその折敷の穴より鼻さし出でて提の湯にさし入れて能く茹て引上げたれば色は濃き紫色なり。それを側ざまに臥せ下に物を当てて人に踏ますれば粒立ちたる穴毎に煙のやうなる物出づ。それをいたく蹈めば白き虫の穴毎にさし出づるを毛抜にてぬけば四分ばかりなる白き虫を穴毎に取り出だす。その跡は穴多くあきて見ゆ。それをまた同じ湯に入れてさらめかし沸すに茹づれば鼻小さく萎みあがりて尋常の人の鼻のやうになりぬ。また二三日になれば前の如くに腫れて大きになりぬ。かくの如くしつつ腫れたる日数は多くありければ物食ひける時は弟子の法師に平なる板の一尺ばかりなるが広さ一寸ばかりなるを鼻の下にさし入て対ひ居て上ざまへ持上げさせて物食ひ果つるまではありけり。他人して持上げさする折は荒く持上げければ腹を立てて物も食はず。さればこの法師一人を定めて物食ふ度毎に持て上げさす。
それに心地悪しくてこの法師出でざりける折に朝粥食はんとするに鼻を持て上ぐる人なかりければ「いかにせん」など云ふほどにつかひける童の我は能く持て上げ参らせてん更にその御房にはよも劣らじと云ふを弟子の法師聞きて `この童のかくは申す `と云へば中大童子にてみめも穢げなくありければ上に召しあげてありけるにこの童鼻持て上の木を執りてうるはしく対ひ居て善きほどに高からず低からず持上げて粥を啜らすればこの内供 `いみじき上手にてありけり `例の法師には勝りたり `とて粥を啜るほどにこの童鼻をひんとて側様に向かひて鼻をひるほどに手震ひて鼻持上の木揺ぎて鼻外れて粥の中へふたりと打入れつ `内供が顔にも童の顔にも粥迸りてひともの掛かりぬ。
内供大きに腹立ちて頭顔に掛かりたる粥を紙にて拭ひつつ「己は凶々しかりける心持ちたる者かな」心なしの乞児とは己がやうなる者を云ふぞかし。我ならぬやごつなき人の御鼻にもこそ参れそれにはかくやはせんずる。うたてなりける心なしの痴者かな。おのれ立て立て。とて追ひ立てければ立つままに。世の人のかかる鼻もちたるがおはしまさばこそ鼻持上にも参らめ `迂愚の事述給へる御房かな `と云ひければ弟子ども物の後ろに逃げのきてぞ笑ひける。

原典:万治二年製板本
親本:『日本古典全集刊行会発刊 日本古典文学全集第二回 宇治拾遺物語』
発行日:昭和二年十二月二十五日

現代語訳

昔、池の尾に善珍内供という僧が住んでいた `真言などをよく習い、長年修行し、貴かったので、世の人々はさまざまな祈祷を頼んだことから、収入も豊かで、堂も僧坊も少しも荒れたところはなかった `仏前に供える食物や御灯なども絶えず、折々の僧膳や寺の講演も頻繁に行わせていたので、寺中の僧坊には隙もないほど僧が住み、賑わっていた `湯屋に湯を沸かさない日はなく、がやがやと浴びていた `また、その辺りには小さな家などもたくさんでき、里も賑わっていた。
ところで、この内供は鼻が長かった `五・六寸ほどだったので下顎より下がって見えた `色は赤紫で夏みかんの肌のようにぶつぶつとしてふくれていた `痒がることこの上ない `ひさげに湯を沸かし、折敷を鼻を差し入れる分だけにくり抜いて炎が顔に当たらないようにし、その折敷の穴から鼻を差し入れてよくよく茹でて引き上げると、色は濃い紫になる `それを傍らに臥して、下に物を当てて人に踏ませると、ぶつぶつした穴ごとに煙のようなものが出る `それをもっと踏むと、白い虫が穴ごとに出てくるので、毛抜きで抜き、四分ほどの白い虫を穴ごとに取り出す `その跡は穴が開いて見える `それをまた同じ湯に入れてさらさらと沸かし茹でると、鼻は小さく縮みあがり、普通の人の鼻のようになる `だが、二、三日すると前のように腫れて大きくなってしまう `このようにしつつ、腫れた日が多かったので、物を食うときには、弟子の法師に長さ一尺・巾一寸ほどの平らな板を向かい側から鼻の下へ差し入れて上に持ち上げさせ、物を食い終わるまでそのままにさせていた `別の者に持ち上げさせたときなどは、下手に持ち上げると、腹を立てて物も食わなかった `だからこの法師だけと決め、物を食うたびに持ち上げさせていた。
ところが具合が悪くてこの法師が出られず、朝粥を食べようとするとき鼻を持ち上げる人がいなくて `どうしよう `などと言っていた折、使っている童子が `私なら上手に持ち上げてみせます `決してその法師に劣りませんよ `と言うのを弟子の法師が聞き `あの童子がこのようなことを申しております `と伝えると、中大童子で容貌も悪くなかったことから上の座に召していたので、この童子が鼻を持ち上げる木を取り、行儀よく向かいにおり、高からず低からずいい具合に持ち上げて粥を啜らせると、内供は `たいへん上手である `いつもの法師以上である `と粥を啜っていたが、そのさなか、童子がくしゃみをしようと横を向いてひったとたん、手が震えて鼻もたげの木が揺れ、鼻がはずれ、粥の中にべちゃっと落としてしまった `内供の顔にも童子の顔にも粥が飛び散り、一面にひっかかってしまった。
内供はひどく腹を立て、頭や顔にかかった粥を紙で拭いつつ `おまえは忌わしい心を持った奴だ `情のない乞食小僧とはおまえのようなものを言うんだ `私でない偉い方のお鼻を持ち上げたときにもこんなことをするのか `とんでもない底なしの馬鹿野郎め `おのれ、とっとと失せろ `と追いたてると、童子は立つままに `世の中に、そんな鼻を持っている人がおいでなら、鼻をもたげに参りましょう `馬鹿なことを仰るお坊さまだ `と言うと、弟子たちは物陰に逃げ隠れて笑った。



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